ホテルカデシュ合同誌「NPO法人すぎのき会 代表理事 五十鈴晃彰の場合」あとがき
Yo men Bro、T00です。
あけましておめでとうございます(大遅刻)。昨年はお世話になりました。
去年もいろいろありましたが、やはり個人的に最大の出来事は年末。
コミックマーケットでこちらの同人誌、『bonum noctis』*1を頒布しました。
総勢参加者10名!なぜかだめがねさんも巻き込んで(!?)完成したホテルカデシュの非公式合同誌です。中身はイラストや漫画、小説等が収録されています。
参加者も豪華!
最近カデシュ関連の幻覚を見まくっており、超筆が早くイラストを描きまくっている鳥原さん!
複数回公式映像に出演している「マスター」を演じ、本業はガチで漫画家の縛さん!
メタカル最前線編集長にしてカデシュ記事を書きまくり、最近はカデシュ二次創作も執筆し始めた東雲りんさん!
公式イラストを多数手がけ、今回公式資料集レベルの情報を出してきたジカウムさん!
公式スピンオフイベント「ダイノダイナー」でキャストを務め、カデシュフェスのコスプレ等を担当したCatrentさん!
リアルカデシュバッジやコインの制作に携わり、参加者としても最古参レベルのまいんどうずさん!
同じく最古参レベルの参加者で謎のメイドをゲストとして演じる、カデシュの生き字引的存在のシェーリングさん!
ヤスナカ推し筆頭クラスのファンで、カデシュのバーチャル即売会もやったことがある暁人さん!
そんな中に一人、太山 史敬という人物の名前があります。カデシュに詳しい方はこう思ったでしょう。”こいつ誰だよ”と。
今回はそんな太山氏と、彼の書いた「NPO法人すぎのき会 代表理事 五十鈴晃彰の場合」について話します。
太山 史敬氏とは
太山氏は日本で活動しているフリーのジャーナリストです。裏社会、とりわけヤクザの裏事情をメインの取材対象としています。彼がヤクザに興味を持ったのは2011年、被災時にヤクザの炊き出しによって助かった経験が元となっており、この経験から「なぜこの人達はヤクザをすることになったのか」という点に着目して調査、執筆を行っています。代表作には「子供の僕が見たヤクザ」「ヤクザを辞めたあとの仕事101集」(いずれもワンコ・パブリッシング社)があり、新鋭機英のヤクザライターの一人です。
今回、彼に寄稿していただいたのはこちらからのオファーによるものです。彼の以前の取材対象には元美登里組の五十鈴氏の姿がありました。彼の取材はテレビ番組として放映され、私はたまたまそれを見ていたのです。その番組の内容をエッセイ風に改稿し、寄稿していただきました。
ご存じの通り、美登利組はカデシュとつながりがあると噂されている暴力団であり、太山氏の耳にもそれは届いていました。カデシュともつながりのある美登利組の元組員が、今は何をしているのか――そういうところにも注目してほしい、というのが太山氏の言葉でした。
――はい、このへんでもういいですかね。だいたいもう察している方も多いと思いますが、太山史敬の正体はこのわたくし、T00です。太山史敬というのは、カデシュ世界に居る……かもしれない、架空のキャラクターの一人です。
なんでこんな形式の小説を作ることになったのか、その辺話していきたいと思います。
モキュメンタリーへのあこがれ
モキュメンタリー、という映像手法があります。
これは虚構の物語をあくまで事実ベースのドキュメンタリーとして構成する映像方式で、特に2024年にはモキュメンタリーの中でもホラーテイストを取り入れた作品が大流行した年でもありました。ほかにはたまにツイッター上でもスクショが流れてくる「ロバート秋山のクリエイターズ・ファイル」もこのジャンルの作品ですね。
そんなモキュメンタリーの中でもT00に一番刺激を与えた作品、中田監督の『劇場版 電撃VRCホラワ調査隊 BANNED FOOTAGE -呼-』
こういう雰囲気の作品、いいよなァ……となりました。VRのホラーというとどうしてもゲームになりがちですが、それが現実とかっちりとかみ合って響いてくる怖さ!非常にクールです。
そのほかにもいくつかモキュメンタリー的な二次創作小説なんかも好きで、T00もいつかこういうモキュメンタリーでカデシュの小説を書きたいな……と思っていた時、ふとある人物の存在を思い出しました。『掌』でヤクザの一人を演じ、T00の友人の一人でもあり、ダイノダイナーのスタッフでもあり、そしてなにより大のサキュバス酒場狂の人物、イスティルです。
#サキュバス酒場
— イスティル (@koakuma623) 2025年1月8日
新年初、そして新店舗初の営業…勝ち取ったぜ。
ヴァルスさん、紫鬼さん、ネームレスさん、れんりさんに接客してもらった!
途中で落ちることもなく最後まで楽しめた!!! pic.twitter.com/pI4PRdKx4d
彼が演じたヤクザは掌の後半、司がヤクザになった後に登場します。

この嬢に絡んでいる男がイスティルの演じたヤクザです。彼の去就についてはイスティルから聞かされており、
・ヤクザはあの後辞めた
・司に「優しすぎるからヤクザに向いてない」と言われた
・作中で話していた嬢と結婚した。
……という話を聞いていました。実際にイスティルも、ヤクザを辞めたことをほのめかすような写真を投稿しています。
ヤクザの彼のその後については公式では触れられていません。そこに今回の物語を作る余地があるんじゃないのか……?と想像力を働かせてできたのが、「NPO法人すぎのき会 代表理事 五十鈴晃彰の場合」というワケです。
ヤクザ物のルポルタージュ、というもの
さて、テーマは決まりました。司から「優しすぎるから向いていない」と言われたヤクザの彼。とりあえずイスティルに書くことを報告しがてら、彼の名前を確認しようとしたのですが、実は名前は決めていない、とのこと。
だったらこっちである程度勝手につけてしまおう。イスティルだからその名前を捩って……いす…てる……いすず……てる…あき?五十鈴晃彰、これだ。こんな感じで名前は決定しました。ちなみに、作中で登場する奥さん、梓さんですが、作中で登場しなかった彼女の旧姓は小野。これは奥さんとなった嬢の声を担当していたオズノアを捩ったモノ。おのあずさ、でおずのあの四文字が全部ある、というワケですね。
名前まで考えたところで、具体的に内容を考えていくフェーズに入ります。近年のヤクザは暴対法に加え、暴力団排除条例によりその権勢を大きく下げています。カデシュ世界に確実に存在しているのは暴対法まで*2ですが、現実世界に即して考えるなら暴排条例が存在してもいいだろうな、と。
現実のヤクザはまさに暴排条例によって苦境に立たされており、暴力団を辞めた後ですら暴力団員として事実上扱われるため、なかなか社会復帰ができないという状況があります。中にはヤクザを辞めたのに再びヤクザに出戻りしたり、半グレと呼ばれる犯罪者集団に「犯罪のプロ」として雇われるケースも。
ここで一度、司の目的に立ち返ります。司は日本のヤクザ勢力を削ぐために、カデシュと手を組んだとされています。司は父母をヤクザによって失い、その後育ての親の祖父も災害で亡くし、その身柄を引き受けた二人目の育ての父とでもいうべきヤクザ、緑山敏郎を亡くしています。おそらく司はヤクザという存在を消そうと考えていて、そのためにはカデシュの力や自身の暴力を使うことをいとわないのではないか?
そしてそこまで考えたときに、ヤクザを減らす方法がもう一つあるなと思いました。そう、更生の道です。ヤクザから足を洗おうとするものを助ける道があるはずで、「優しすぎる」とまで言われた彼はおそらくその道に行くんじゃないだろうか……?
五十鈴は王道で、司は覇道で、それぞれヤクザを減らすように働きかけるという構図、いいんじゃねェか……?
そんなワケで、元ヤクザ、現中華料理店店長で、元暴力団員の更生を手助けするNPO法人の代表、五十鈴晃彰が生まれたのです。
彼の活躍はぜひ本編のほうで確認してほしいな、と思います。
多様なカデシュ二次創作を見せたい、見たい、という気持ち
今回の合同、カデシュに関わるタイトルならなんでもOK、というレギュレーションでした。初回ということもあり、うちのこでもダイノダイナーでもNINEでもOKにして、いろんな作品が集まる土壌を作りたいな、と思っていました。
そしてそういうレギュレーションを設定したからには、T00自身が最も自由に創作をするべきである、と思いました。こういう観点からも、たぶんほかの参加者からは出てこないであろう、カデシュ世界の一般人から見たカデシュ世界の裏社会の景色を描きたいな、と思い、今回T00はモキュメンタリーという変化球的な手法を選んだ……というトコロもあります。そもそもT00、こういう変化球を織り交ぜるのが大好き!いい作品になったんじゃないかな、と自負しています。
モキュメンタリーエッセイ、大好きなジャンルだからめっちゃ流行ってほしい……!流行れ……!!!そしてT00が想像もしてなかったところからボールが飛んできてほしい……!見てぇから!!!!
そうこう考えていたら来ましたね、想定外の一撃。
前々からT00は何かにつけてカデシュ○○パロディみたいな妄言を吐いてたんですが、カデシュソシャゲパロディとは……!しかもこちら、ゲスト陣のみんなが次々とタイトルコール遊びしだすところまで流行しています。いいよねこういう幻覚が流行るの……楽しい……!!!
カデシュ本編はもちろん楽しみですが、こういう二次創作ももちろん好き!オタクだから。本編のみならずファン活動もいっぱい見られるととてもうれしいな、と一ファンとして思います。みんなもやろうズェ……!!!
なんかあとがきって言ってるわりに全然別のところに着地したな。まぁあとがきなんてそんなもんか……と思いましたが、もう一つ言いたいことを思い出したので書いておきます。
ホテルカデシュ合同誌『bonum noctis』ですが、Vol.2もやります。
カデシュが続く限り、毎年出し続けていきたいな、というのが当分の目標です。次回もおそらく冬になるとは思いますので、皆さんの参加をお待ちしております!!!
てなところで今年最初の記事は終わり!
皆様、本年もよろしくお願いいたします。では、よい夜を。
T00/エミリア・ベルウッド